周りに同調することを避けがちでクラスでは浮き気味だった佐々木涼は、
部員不足に悩む文芸部に強引に引きずり込まれ、
部員たちの文系らしい静かな距離感に、心地よい居場所を見出すことになった。
充実した日々は瞬く間に流れ、数日後には卒業式が控える。
永遠に続くかとも思えたまどろみの日々も終わりがきたのだった。
文芸部の後輩から告白を受け、卒業による多くの別れをあらためて涼は知る。
それは、彼の中にもあった秘めた想いを蘇らせ……。
一見ぶっきらぼうでとっつきにくい涼に、部員不足で悩む歌穂が勇気を出して勧誘したことからふたりの関係が始まった。
話してみると涼は、繊細で不器用な優しさを持っていることを知り、徐々に惹かれていく。
だが想いがすれ違い、そのうちに涼に友達を紹介されてしまい付き合うことになってしまう。
優しい彼と、涼を深く想う後輩に囲まれ、身を引くつもりでいるが…。
歌穂の中学時代の後輩だったことから入学と同時に文芸部に加わり涼との交流が始まる。
涼と並ぶほど女子としては長身なことがコンプレックスで、一緒に歩くときは猫背になってしまう。
ねぼすけでどこでも寝てしまうこともあって、自分には女子としての魅力は無いと思い込んでいた。
しかし卒業による別れを前に、思い切って涼に告白する。
涼のクラスメイト。優佳がウリをやっていて5000円で誰とでも寝ると噂する男子生徒達を涼は咎め喧嘩となったが、
その後、涼は噂が真実であることを知り嫌悪を感じて優佳を避けるようになる。
だが、卒業間近になって触れた優佳の素顔が、痛々しいほど純粋なものであることを知り惹かれていく…。
涼の義姉。涼の実父は若くして病死し、実母も体を病み涼を手放すほかはなかった。
親戚である佐々木家に引き取られたのだが、赤ん坊だった涼はそれを知らぬまま、あやめを実の姉と信じて育った。
進学をきっかけに事実を知った涼のショックは大きく、あやめと養父母を拒絶するが、その直後に養父母が事故死してしまう。
遺されたあやめは、深く傷ついた涼を守り、独り立ちできるまで育てようと決意し学校も辞め働きはじめるが、
涼は自分があやめの重荷になっているのではと悩んでいた。そんな二人のもとに涼の実母から涼を引き取りたいと手紙が届き…。
涼の学園の養護教諭。画一的な対応に終始しがちな他の教諭と違い、問題があっても生徒の個性を頭ごなしに否定したりしない。
言葉を飾らないざっくばらんな態度にかえって安心でき、涼は保健室の常連となっている。
まだ若く美人であるが、常に大人の余裕を感じさせ、軽くあしらわれるので、
嫌でも自分が子供であることを意識させられてしまい、男子生徒達からは恋愛対象と見られていない。