それは神も人もその他の生き物も何もかもが混沌としていた時代… ゲルトルートは美しい顔立ちの笑顔を絶やさない明るい娘だった。 ある日のこと、野山で遊ぶ彼女の歌声に惹かれた一人の男が声をかけた。 男は、国から国へと渡り歩く旅の音楽家で、 道中出くわした愉快な話をゲルトルートに語って聞かせた。 生まれてからというもの、一度も村から出たことのないゲルトルートは、 すっかり男の虜となり自分も旅に連れて行ってとせがんだ。 だが翌日、声をかけることもなく男は姿を消した。 まだ少女の頃だったゲルトルートには、男との楽しいひと時が忘れられず、 いつか迎えに来てくれるとただ信じて待っていた。 そして年月が流れた。 年頃になってもゲルトルートは歌をやめることはなかった。 その歌は、遠い昔、 旅の音楽家がゲルトルートの記憶の片隅にそっと置いていった小さな旋律である。 そしてある日、ゲルトルートのもとに旅の音楽家は帰ってきた。 なにも言わず姿を消したことをゲルトルートは問いはしなかった。 だが、この時すでに彼女には婚約者がいた。 旅の音楽家は、言い争う二人の姿を見て、昔と同じように何も言わず旅立っていった。 ゲルトルートは涙の涸れるまで泣き、冬が訪れるのを待って結婚した。 結婚の幸せもつかの間、その冬流行った疫病に冒され、夫は死んだ。 この時ゲルトルートの心の中で何かが変わった。 ゲルトルートの様子を聞いた旅の音楽家は村に戻ってゲルトルートに求愛した。 しかし裏切られたと思ったゲルトルートは昔の心を取り戻すことができなかった。 ついにゲルトルートが振り向かないと知った旅の音楽家は、 永久に姿を消そうと決意した。 ゲルトルートが気づいた時にはすでに旅の音楽家の姿はなかった。 途方に暮れたまま、ある日とうとう狂ったように叫び声をあげると、 ゲルトルートは森の中に姿を消した。 1000日もの間、暗黒の森をさまよい歩き、1001日目になって人々の前に姿をあらわした。 姿をあらわしたゲルトルートは自分の満たされなかった想い満たすための世界をつくった。 その世界は希望に満ち溢れたものにしたいと、海と山を創り、川を引き、街をつくった。 世界を創造し終えたゲルトルートは天上高く舞い上がり、自らの世界を見守る女神となった。 その世界は女神の名をとって「ゲルトルーズ」と呼ばれるようになった。

このゲームの舞台「ゲルトルーズ」は、国民の中から選ばれた女王と12の執政官が統治している世界です。 女王は33年の統治ののち引退し、1000日間の女王不在期間に12人の女王候補が育てられ、 最も優れた娘が新たな女王として即位します。 その育成期間がすでに700日を経過した時点からゲームは開始されます。 病に倒れた執政官のひとりに代わって、プレイヤーは残りの300日間、女王候補のひとりを育成します。