それを最初に発見したのは泰三である。 ある朝、屋敷の庭に唐突に出現した巨大な穴… ちょうど1人通れるくらいの幅と、 どこまで続くのか計り知れない深さを持つその穴は、 いったい誰が何のために作ったのであろうか… 謎は深まるばかりである。 「え～い、どこのたわけ者じゃ! 人の屋敷に斯様な大穴を掘りおって!! 見つけ次第、この泰三の刀の錆にしてくれるわ!!」 ひとしきり怒った後、泰三はつぶやく。 「ど～れ、取りあえず穴の中を調べてみねばならぬのう…」 やがて、意を決したかのように肯き、そして叫んだ。 「皆の者出会え! だれかこの穴を調べに行く者は居らぬか?」

「とうとう手に入れましたね、夢のヒ・ミ・ツ・キ・チ」 「御意。少々胡散臭い不動産屋ではありましたが、中々の物件でございます」 穴の最下層で一組の男女が話していた。 まさに絵に描いたような美男と美女。 秘密結社「じゅわいおくちゅーる」の総統「ココ・カメリア」と、 その参謀「勧修寺惟麻呂」である。 「秘密基地も手に入れたことですし、後は世界征服だけですね」 「御意」 「だけど世界征服って、わたくし初めてですの。 いったい何から始めればよろしいのかしら…」 「はっ! 新興組織の発展には、地域住民の協力が欠かせません。 まずは地元主婦層の賛同を得るために、彼女達からパートを募集いたしましょう」 今から起こる人生最大の災難も、悪徳不動産業者に騙されたことも、 彼女たちはまだ知る由もなかった。

このゲームはダンジョン自動生成型のRPGです。いわゆるローグライクと呼ばれるシステムです。 乾家の自宅地下に突然現れた秘密結社の基地であるダンジョンを潜り、 結社総統「ココ・カメリア」に立ち退きを命じることがゲームの目的となります。 乾家当主泰三(侍)、長男宇賀之介(野人)、長女わかめ(魔法少女)、そして犬(無職)の、 3人+1匹から1人(匹)を選びダンジョンに入ります。 ダンジョン内で起こるHイベントは潜ったキャラクターによって展開が変わります。 ダンジョンは下ることしかできず、帰還するには専用のアイテムが必要となります。 死んでしまうと自宅に戻され所持アイテムを失い、レベルダウンしてしまいます。 生きて帰還できればアイテムを自宅の蔵に置くことができ、次に潜るとき持っていくことができます。 アイテムは敵が落す他、千両箱、ゴミバケツ、仏壇から発見できます。 お風呂はステータスにランダムでなんらかの影響を与えます。 他のローグライクゲーム同様に空腹のパラメータがあり食べ物を食べる必要があります。 満腹度が0になるとHPが残っていても死んでしまいます。 HPは時間経過と共に回復していきます。 野人宇賀之介は他のキャラよりもHP回復速度が速く満腹度の減少量が少ないという特徴があります。 乾家の家紋である太極紋は上にいる間は敵から攻撃を受けませんが、調査以外の行動をとると消えてなくなります。 犬は必殺技を使用することでどこでも太極紋を造り出せます。