遥か昔、世界は滅びた。 光の神と闇の神が争い、壮絶な戦いを繰り広げたのだ。 その戦争が光の神の勝利で終結したとき、世界に残されたものは、癒やし切れぬほどの傷痕。 ただそれだけであった。 山脈は崩れ大海は蒸発し、世界は命あるものの住めない地獄へと変わり果てていた。 残された僅かな人々は、その力を集め細々と生き続けるしかなかった。 いつの日か、再び人類が世界を席巻する日を夢みて…。 それから時が流れたある時、 一人の錬金術師が朽ち果てた瓦礫の中から神の残した業(わざ)を見つけ出した。 その男はレイナード・カーボン。後にカーボナイトの創始者と称される者である。 彼はその業を用い、難解な文字が記された本と精巧な人形を作り上げた。 人形は本を得ることで命を吹き込まれたように動き出す。 そう、それは神にのみ許された、生命を作る業だったのである。 彼の得た知識と技術は瞬く間に世界に広がり、 人間の友として、貴重な労働力として、時には戦力として各地で数多くの人形を作り出した。 レイナード・カーボンの名は世界に広がり、作り出された人形は彼の名と、 本を作る際に使われるカーボンの名を取り「カーボナイト」と呼ばれるようになった。 そして、時を同じくして、一つの奇跡が起こった。 伝説で闇の神と戦った者が、自らの姿を人々の前に表したのである。 彼らは戦いの傷痕を癒やすため、その身を本と龍の人形に置き換えていた。 そして自らを「カーボナイトを守護する者」として、世界に新たな秩序を与えたのであった。 カーボナイトとカーボンドラゴン。彼らにより、人類は新たな再生の道を歩み始めたのだった。 それから500年。 カーボナイトを作れる素質を持つ者、カーボンマスターの数は減ったものの、 世界には人間と同数のカーボナイトたちが存在していた。 それでも、かつて滅びる前にいた人類の一割にも満たない。 しかし、人々はカーボナイトという盟友とともに、 かつての祖先たちが歩んだのと同じ発展への道をゆっくりと着実に歩んでいた。 だが、彼らの与り知らぬところで伝説の悪夢が再び幕を開けようとしていた…。