ストーリー
世界支配の野望を抱く多国籍企業は、
事業の拡大とともに小国と利権を争うようになり、やがて小国を次々とその傘下に収め、各国の政府機関を超える存在にまで成長した。
シンジケートと呼ばれるこれらの巨大企業は、絶対的、独裁的な世界政府として、
一般市民の生活をも支配するようになっていた。
そんな時、ヨーロッパのシンジケートが「チップ」を完成させた。
「チップ」を首に埋め込まれた人間は脳幹が刺激され、外界に対する感覚が一変するのだ。
「チップ」は革新的な技術であり、ドラッグと同様、「チップ」を押さえれば民衆を容易にコントロールできる。
この「チップ」の独占製造権をめぐって、シンジケート間で企業戦争が勃発、スパイ活動が激しさを増していった。
あなたは、小さなヨーロッパ・シンジケートの若きボスとして、世界支配を目指し数々の作戦を展開しなければならない。
世界を支配するためには、十分な軍資金の確保、優秀なエージェントの育成、
そしてあなた自身の作戦指揮能力の向上が、最重要項目になるのだ。
目標の達成、ターゲットの破壊、全テリトリーの支配をすべて成し遂げたとき、
あなたのシンジケートは、全世界を手中に収めることができる!
インストール
このゲームはハードディスクへのインストールが必要です。ハードディスクに20MBの空き容量が必要となります。
まずハードディスクからMS-DOSを起動してください。
プロンプトが表示されたらディスク#1を書き込み可の状態で挿入します。
A>B:
B>INSTALL
カレントドライブをディスクを挿入したドライブに変更し、ディスク内のINSTALL.EXEを実行してください。
インストーラーが立ち上がり、メニューが表示されます。
メニューはカーソルキーの上下で項目を選択し、リターンキーで決定、ESCキーで前の項目に戻ります。
「シンジケートのHDへのインストール」を選択し、画面の指示に従ってインストールを行ってください。
インストール完了後はディスク#1が、ゲームの起動ディスクとなります。
ディスク#1をドライブ1に挿入し、リセットするとゲームが起動します。
インストール後に、サウンドの設定を変更したい場合は、
再びハードディスクからMS-DOSを起動し、ディスク#1をセット、ディスク内のINSTALL.EXEを実行してください。
「ゲームオプションの設定」を選択することで、サウンドの設定を変更できます。
変更できるのはサウンドだけです。色数は変更できません。
インストールを途中で中断したり、インストーラーの指示どおりにディスクの入れ替えをしなかった場合、
不完全な形でインストールが終了してしまいます。
起動ディスクから起動できない場合、インストールを最初からやり直してください。
16色版から256色版に変更したい場合、またはその逆の場合も同様にインストールをやり直してください。
再インストール前に、前回インストールを行ったファイルを削除する必要があります。
インストール時に設定を変更していなければ、ゲームはSYND98ディレクトリにインストールされます。
SYND98ディレクトリを削除してください。
またディスク#1には最初のインストール時にDOSが転送されています。
これを削除したり、DOSのバージョンを変更することはできません。
インストールを実行するハードディスクのDOSと、ディスク#1のDOSは、同じバージョンである必要があります。
メインメニュー
このゲームは、企業が世界を支配するようになった未来を舞台としたリアルタイムシミュレーションゲームです。
プレイヤーはヨーロッパを基盤とするシンジケート「ユーロコープ」を率い、シンジケートの勢力拡大を目指します。
最大4人のエージェントを操作し、暗殺、洗脳などの任務を達成してゆくステージクリア型のシステムとなっています。
ゲームを起動するとオープニングデモが始まります。
左クリックでデモを飛ばすと、タイトル画面に続いて、メインメニューが表示されます。
各メニューは直接カーソルを合わせてクリックする以外にも、表示されているファンクションキーを押すことでも選択できます。
シフトキーを押しながらカーソルキー[↑]を押すと、マウスカーソルの速度が上がり、[↓]を押すと下がります。
■DESIGN COMPANY
まずはプレイヤーが率いることになるカンパニーを作成します。
COLOR AND LOGO
カンパニーのロゴとカラーを設定します。
← →をクリックすることで変更できます。決まったらOKボタンをクリックしてください。
COMPANY NAME
カンパニーの名前を設定します。キーボードから直接入力してください。英数字のみが使用できます。
OKボタンをクリックするか、リターンキーで決定します。
YOUR NAME
カンパニー代表の名前を設定します。入力方法はCOMPANY NAMEと同じです。
すべての設定が終わったら、画面右下のOKボタンをクリックしてください。
■START MISSION
ミッションを開始します。
■LOAD AND SAVE GAME
ゲームの進行状況を保存したい場合はセーブ、保存したデータから再開したい時はロードを実行します。
セーブデータは10個まで保存できます。使用したい保存箇所をクリックで選択してください。
セーブデータ名を変更することができます。キーボードから直接入力してください。
保存箇所選択後、セーブしたい場合はSAVEボタン、ロードしたい場合はLOADボタンをクリックします。
■CLEAR ALL DATA
COMPANYの設定、ミッションの進行状況を全て破棄し、初期状態に戻します。
保存してあるセーブデータには影響しません。
■EXIT GAME
ゲームを終了します。
MISSION BRIEF
メインメニューから"START MISSION"を選択すると、世界地図画面が表示されます。
このゲームの世界は、50の地域に分けられています。
ミッションに成功すると、プレイヤーのシンジケートのカラーに世界地図が塗り替えられてゆきます。
各地域をクリックすることで、その地域の情報が画面下に表示されます。
POP |
人口。人口が増えるほど支配権を握るのは困難ですが、税収も増加します。 |
TAX |
税率。支配地域では ◀▶クリックで変更できます。
左クリックで1%単位、右クリックで10%単位で上下します。
あまり重税を課すと暴動が発生し鎮圧しなければならなくなります。 |
OWN |
支配者。すでにプレイヤーの支配下にある場合、STAT(生活水準)が表示され、市民の生活程度が示されます。
HAPPY = 幸福。UNHAPPY = 不幸、他。 |
ミッションを遂行可能な地域の場合、画面左下に「BRIEF」ボタンが表示されます。
これをクリックすることで、その地域でのミッションを開始します。
セーブやロードを行いたいときは、「MENU」ボタンをクリックしてメインメニューを開いてください。
まずミッションの概要が説明されます。
作戦に投入するエージェントの選択を開始するにはOKボタンをクリックしてください。
MAPボタンをクリックすると、世界地図画面に戻ります。
画面右、INFOの上の数値は、予算です。この予算内で武器の購入、エージェントの強化を行います。
INFOボタンをクリックすると、ミッションについてのより詳しい情報を得ることができます。
ただし、ボタン下の数値分、資金を必要とします。
もうこれ以上の情報はないという状態になると、INFOの数値が消えます。
情報が追加されると、メッセージエリアにページ切り替えのためのボタンが表示されます。
INFOボタンの下は、このミッションのマップです。
ZOOM OUTボタンをクリックすると表示範囲を拡大できますが、INFOと同様にボタン下の数値分、資金が必要です。
マップ内をクリックし続けることで、マップをスクロールすることができます。
ターゲットの位置は表示されません。
TEAM SELECTION
TEAM SELECTION画面で、エージェントの選択、武器やパーツの購入を行います。
ミッションに投入できるエージェントは最大で4名です。
エージェントボックスをクリックすることで、設定対象のエージェントを切り替えることができます。
ボックス中央のグループアイコンをクリックすると、全員を同時に設定できます。
解除するにはもう一度クリックしてください。
投入する人数を減らすには、ボックスを右クリックしてください。ボックスが暗転し、ミッション不参加となります。
もういちど右クリックすることで、再度参加させることができます。
■TEAM
ミッションに投入するエージェントを変更します。
TEAMをクリックすると予算の下に、CRYO CHAMBER (低温室)に収容されているエージェントのリストが表示されます。
エージェントボックスに選択されているエージェントは、ボックス番号が名前の前に表示されます。
変更したいボックスをクリック後、エージェント名をクリックすることで、そのエージェントが新たに選択されます。
EMPTYは空の部屋です。ミッション中にパーシュエイダー (催眠兵器)でエージェントを捕獲すると、ここにストックされます。
戦死したエージェントは再生できません。エージェントが全滅するとゲームオーバーです。
■WEAPON
武器やアイテムを購入しエージェントに装備させるにはWEAPONボタンをクリックします。
現在エージェントが装備しているアイテムは、アイコンで表示されます。
アイコン下のバーは弾薬数です。
予算の下に購入できるアイテムのリストが表示されます。
アイテム名をクリックすると、そのアイテムの詳細なデータが表示されます。
データの「ショット」は一弾の価格です。
購入する場合は、BUYをクリック、一覧に戻る場合はCANCELをクリックしてください。
所持アイテムを売却したい場合は、
アイテムアイコンをクリックし詳細データを表示させ、SELLをクリックしてください。
ミッションで使用し消耗した弾薬を補給したい時はCHARGEをクリックします。
CHARGEを右クリックすると一度に全ての武器に対して補給できます。
アイテムを別のエージェントに渡したい場合は、
アイテムアイコンを右クリックでドラッグし、渡したいエージェントのボックスにドロップしてください。
■PARTS
エージェントの身体パーツを換装することで、エージェントの強化ができます。
パーツのグレードはV1からV3までの三段階がありますが、ゲーム開始直後はV1パーツしか利用できません。
パーツの購入は、アイテムの購入と同じ手順ですが、売却はできません。
購入したパーツは画面中央の人体図に表示されます。上部のSPECIAL AGENTの後の文字列がエージェント名です。
LEGS |
エージェントの機動速度が増します。 |
ARMS |
従来より重装備に耐えられようになります。 |
BODY |
被弾時の耐久力が増大します。また自爆モード時の爆破能力も増大します。 |
HEART |
心臓が強大になり、体力と持続力が全般的に増大します。 |
SIGHT |
危険の察知能力が高まり、発砲時の照準がより正確になります。 |
BRAIN |
緊急時の意思決定能力が向上するとともに、催眠兵器の威力が増大します。 |
■RESEARCH
新たな武器の開発や、パーツのグレードアップを行います。
RESEARCHをクリック後、武器の開発を行うにはWEAPON、パーツの強化を行うにはPARTSをクリックしてください。
画面左に開発対象のリストが表示されるので、開発したいものをクリックします。
MIN COSTは研究開発費の最小値、MAX COSTは最大値です。
開発を実行するにはRESEARCHをクリックしてください。一覧に戻るにはCANCELをクリックします。
開発を開始すると、画面中央に開発の進行状況が表示されます。
横が時間を表し、縦が開発段階を表しています。線はメーターになっていて開発進行度を示します。
研究費を増やすことで、短い時間で開発することができます。
研究費は、COST+をクリックすることで増やせ、 COST-クリックで減らすことができます。
研究費は、時間の経過と共に予算から引かれていきます。
開発中に別の開発を始めると、今の開発は中断され、新しい開発が優先されます。
中断された開発の進行度は、開発を再開した時に引き継がれます。
このゲームの時間は、ミッション中も、ミッション開始前のこの画面でも常に流れつづけています。
よってミッション中も研究開発は進行していきます。
■OK
ミッションを開始します。
ミッション
自社のエージェントには、エージェントボックスに対応した番号が付きます。
操作対象とするエージェントを選択するには、直接エージェントをクリックするか、ステータスボックスをクリックしてください。
ステータスボックス中央のグループアイコンをクリックすると全てのエージェントを同時に操作できます。
ステータスボックスを右クリックすると、画面がそのエージェントの位置に移動します。
メイン画面をクリックすると、その地点に選択されたエージェントが移動を開始します、
移動速度を上げるにはLEGSパーツを装着させるか、アドレナリンを投与してください。
装備品の重量も移動速度に影響を与えます。
カーソルキー |
マップのスクロール。 |
左クリック |
その地点に移動する。
アイテムアイコンクリックでアイテムを手に持つ。 |
右クリック |
武器を持っている時、発砲。
アイテムアイコンクリックでアイテムを捨てる。 |
F1 |
効果音のON / OFF。 |
F2 |
BGMのON / OFF。 |
F3 |
ゲームスピードを速くする。 |
F4 |
ゲームスピードを遅くする。 |
P |
ゲームの一時停止。 |
D |
BODYパーツを装着している場合、自爆攻撃を実行する。 |
SPACE |
任務達成後、ミッションを終わる。 |
ESC |
ミッションを放棄する。 |
■IPAレベル
ステータスボックスの白いバーは、エージェントの生命力を表すHPバーです。攻撃を受けると減っていき全て失うと死亡します。
3色のバーは、IPAレベルです。エージェントの活動を制御する薬物の投入量を表します。
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A |
アドレナリン |
反応が速くなります。移動速度に影響します。 |
|
P |
知覚 |
発砲時の命中率が上がり、危険の察知能力が向上します。 |
|
I |
知能 |
状況判断がよくなります。 |
IPAの各レベルはバー内をクリックすることで増減できます。
白線より右に増やすと、薬物の投入量を増やす事になり、左に増やすと減らすことを意味します。
投入後、徐々にバーが暗くなっていくのは、薬物の使用済み量を意味します。
暗い部分が半分まで達すると、薬物の効果が切れはじめ、それに伴ってレベルの値も落ちます。
薬物の効果が切れると、白線が右側に移動します。これは薬物への耐性が高まっている事を意味します。
再び同じ効果を得るためには、薬物の投入量を増やす必要があります。
戦闘に入る前にあらかじめ、左側にバーを設定し、投入量を抑えておくと耐性も低下し、投入量を増やす際に有利となります。
マウスの左右ボタンを同時押しすると、パニックモードが発動し、
IPA全レベルが最大に設定され、自動的に武器を選択して発砲を開始します。緊急時に使用してください。
■アイテム
ステータスボックスの下には、現在選択されているエージェントが所持するアイテムが表示されます。
アイコンをクリックすると、そのアイテムを手に持ち、アイコンは明るく表示されます。
アイコン下のバーは残り弾数です。
武器アイコンをクリックすると、武器を手に持ちますが、
この状態で警官と遭遇するとシンジケートのエージェントであると見なされ攻撃を受けます。
もう一度同じ武器アイコンをクリックすることで、武器を手から放しコートの下に戻します。
アイテムアイコンを右クリックすると、その場にそのアイテムを捨てます。
捨てたアイテムや、死亡したエージェントが落とした武器にカーソルを合わせると、
カーソルが
グラブカーソルに変化します。
この状態でクリックすると、そのアイテムを拾うことができます。
アイテムとエージェントの位置が遠い場合は、アイテム位置まで移動してから拾います。
■攻撃
武器を使用するには、武器を手に持っている必要があります。
武器アイコンをクリックし、武器を持ったら、右クリックで使用します。
クリック時のカーソル位置に対して攻撃を行いますが、武器には射程があり、射程外には届きません。
対象にカーソルを合わせた時、射程外の時は照準アイコンが白で表示され、射程内の時は赤で表示されます。
弾が切れた時、別の武器を持っていれば自動的に持ち替えます。
BODYパーツを装着しているエージェントを操作中に、Dキーを押すと自爆攻撃を敢行します。
広範囲を破壊できますが、エージェントは死亡します。
■スキャナー
アイテム欄の下にはスキャナーが表示されます。現在のミッションのマップが表示され人物が光点で示されます。
アイテムのスキャナーを持っていなくても、この画面は表示されますが、持っていると1画面でより広い範囲が表示されます。
スキャナー画面をクリックすると、選択されているエージェントはその位置に移動を開始します。
右クリックするとその地点にメイン画面の表示を切り替えます。
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自分のエージェント |
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敵のエージェント |
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警官 |
|
ガードマン |
|
ターゲット |
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一般市民 |
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乗り物 |
|
建物 |
|
死体 |
ミッションクリアの条件となる対象はスキャナー内でエコーを発する白点として表示されます。
目標達成後、脱出地点に向かわなければならない場合は、脱出地点がエコーを発します。
すべてのエージェントが脱出地点に到達すると、エコーは赤に変わります。
敵エージェントとガードマンは警官と違い、こちらが武器を構えていなくても発砲してきます。
■その他
乗り物をクリックすると、エージェントがそれに乗り込みます。
通常の移動と同じく、クリックした地点に移動しますが、道路もしくは線路以外は走れません。
降りたい時は、車両をクリックしてください。車両を攻撃すると破壊可能です。
ミッションの目標を達成すると、アイテム欄上のメッセージエリアに、MISSION COMPLETE、PRESS SPACEと表示されます。
この状態の時にスペースキーを押せば、ミッションが終了します。
ターゲットを逃し、目標達成が不可能になった時は、
MISSION FAILEDと表示され、この時もスペースキーでミッションを終了できます。
|
SCANNER |
スキャナー |
使用する必要はなく持っているだけで、スキャナー画面の表示範囲が広がります。 |
|
MEDIKIT |
メディキット |
応急処置用の救急キット。HPが減少している時にクリックすると回復する。
満タン時にクリックすると、手に持つが、その状態で攻撃を受けると即使ってしまうので注意。 |
|
PERSUADERTRON |
パーシュエイダー |
通称「説得」。科学薬品入りの弾丸を発射する催眠洗脳兵器。
射程は極短いので近接して使用する必要がある。使用は銃器と同様に右クリックで行う。 |
パーシュエイダーの被弾者は、撃ったエージェントの後に付いて歩き回ります。
一般市民は無条件で洗脳できますが、
ガードマン、警官、敵のエージェントを洗脳するには、事前に一定数の一般市民を洗脳しておく必要があります。
必要となる一般市民の数は、装着しているBRAINのグレードによって異なります。
BRAIN |
ガードマン |
警官 |
エージェント |
未装着 |
4 |
8 |
32 |
V1 |
2 |
4 |
16 |
V2 |
1 |
3 |
11 |
V3 |
1 |
2 |
8 |
数値は洗脳に必要となる一般市民の数です。
シンジケート
■タオ
中国のサムハッホイと日本のヤクザを統合した東洋のシンジケート。
タオの重役は、堅牢なソンブシ社の帝国に侵入し、南シナ海からロシアのステップ地方にかけて支配権を握った。
東洋の帝国が西方まで侵略したのは、ジンギスカン以来のこと。
研究開発に莫大な資金を投入した結果、タオのエージェントは訓練が行き届き、ハイテク武器を装備している。
暗殺は確実に実行し、一般市民を巻き込むことは皆無に近い。
タオのエージェントは紳士的で理性的だが、極めて有能であり、手強い。
■I.I.A. Independent Intelligence Agency
何十年にもわたる国家予算の不足から、C.I.A.は市場経済に参入し、資金提供者へのサービス事業を決定した。
スパイ活動やテロ対策で長年培った技術を基盤とし、I.I.A.はたちまち国際犯罪組織に加担する第三勢力にのし上がった。
暗殺や脅迫、政府の転覆操作は絶好のビジネスであったため、
驚異的な成功と相次ぐビジネス依頼を背景に、I.I.A.はシンジケートの表舞台に躍り出たのだ。
彼らは極めて順調に北米企業の頂点に到達し、自然な流れとしてシンジケート業務に専念するに至った。
I.I.A.のエージェントは、強靭な肉体を基準に選抜される。
一般市民の犠牲者を減らすことが支持を得るのだという企業哲学のもとに、勝利の必須条件である装備は重厚だ。
■カストリーロ
カストリーロのエージェントは、比類なき悪徳さが特徴。
このシンジケートは共産主義体制崩壊直後のキューバで、故カストロ首相の精神を受け継ぐ政党として発足した。
選挙では欲しいものが手に入らないと分かるや、手っとり早く武器弾薬で大衆を統制したのだ。
疫病のようにカリブ海に広がったこのシンジケートは、にわかに南米の主要勢力となった。
世界中の政府に対し、アマゾンの熱帯雨林資源を破壊すると脅迫してせしめた金が、その資金になっている。
資金が不足すると、今だにこの古い手を使って稼いでいる。
軍事的な要衝である北米での基盤確立をめぐり、カストリーロとI.I.A.は摩擦が絶えない。
■スフィンクス社
スフィンクス社は、ほとんど神がかり的な熱意で、敵側テリトリーへの版図拡大を企てている。
古代エジプトの栄光を奪回し、アフリカ、中東、地中海にわたる帝国を再建するのが彼らの夢なのだ、
他のシンジケートからは、聖書を隠れ蓑にした世界征服だと非難されている。
エージェントの武装は不十分だが、忠誠心にただならぬものがある。
負傷しても最後まで戦い続けるため、極めて手ごわい相手と言える。
■エグゼキュティブ・ジハッド
タオとスフィンクス社の侵入によって、岩山に囲まれた生活を余儀なくされている。
石油を輸出し公害を広めた罪で世界政府から罰金を課せられ、財政的にも窮乏しているため、領土奪回が夢。
しかし、逆境こそ現在の彼らには最大の糧であり、エージェントは血に飢えた殺人マニアだ。
エージェントは少数で装備も貧弱だが、甘く見ていると痛い目に遭う。
■タスマニア解放同盟 TLC
18世紀に犯罪者をオーストラリアに島流しにした際、英国政府はその重大さを認識していなかった。
オーストラリアの若者にとって犯罪は天性のものであり、母親の胸に抱かれながら傷害や殺人の方法を教えられたのだ。
しかし、不節制な生活がたたって敵に先を越され、タオにいとも簡単にオーストラリア一帯の基盤を奪われてしまった。
ところが、2140年のラガー大反乱で、タスマニア解放同盟(TLC)が水力発電所から本土への送電を止め、タオの制圧を阻止したのだ。
バス海峡を総なめにした後、タオをオーストラリアから追放し、楽園バービーを復活させた。
ラガービールの世界的輸出で得た利益を研究開発に投入して成長を遂げ、TLCはやがてタオに次ぐ世界第2の勢力にのし上がった。
エージェントは、指揮者がいつも酔っ払っているため、衝動的な行動を取りがち。そのため一般市民の犠牲者が多くなる。
エージェントは、サディスティックな性格ではない。ただし、ベジマイトを採らせないようにすると狂暴になる。
■ユーロコープ
2100年、ヨーロッパ共同体は内紛と分裂に明け暮れていた。
各国で役割を分担するという新アイデア(イタリアが防衛、英国が食料供給、ベルギーが外交)もうまく行かず、トラブルが絶えなかった。
何世紀にもわたる国家間抗争は解決できなかったため、ドイツが外交手腕を発揮してヨーロッパ中の紛争の火種を一つずつ消して回っていた。
このような状況で、「チップ」が完成された。
一般市民が「チップ」で洗脳されてゆく一方、政府が利潤抗争に没頭したため、シンジケートが勢力を拡大したのだ。
抗争の霧が晴れたとき、唯一生き残ったのがユーロコープ。
しかし、ユーロコープによる「チップ」製造権の独占もそれ程長続きはせず、
敵側シンジケートに対して前線で防衛戦略に注力しなければならなくなった。
任務に失敗すれば、シンジケートの重役は掟に従い、飛行船に仕掛けてある爆破装置のスイッチを押さざるをえない。
飛行船とともに炎に身を焦がし、成し得なかった野望と共に、戦乱の巷に墜落して行く。
この上ない恥辱であるが、苦しまずに死ねるだけ感謝しなければならないだろう。